薬に頼らない新たなうつ病治療
梅田メンタルクリニックは、うつ病・ストレス治療の新たなアプローチであるTMS治療の専門クリニック(心療内科・精神科)です。ここでは、TMS治療の概要や、対象となる方、治療のメリット・デメリット、実際の流れについて紹介します。治療を検討している方は、ぜひご確認ください。
TMS治療(磁気刺激治療)とは
TMS治療のTMSとは“Transcranial magnetic stimulation”の略語で、「経頭蓋磁気刺激法」と訳されます。
TMS治療とは、脳の機能異常に磁気刺激を与えることで脳の正常化を図り、うつ症状を改善させる治療法です。メリットとしては、「ほとんど副作用がない」「治療期間が短い」「再発率が低い」ことが挙げられます。うつ病治療として確立されており、さまざまな精神疾患への適応についても研究されています。
TMS治療は電気治療ではなく、磁気刺激治療なので安全です。
TMS治療(磁気刺激治療)の現状
日本では、2019年6月からTMS治療が保険適用されるようになりました。ただし、保険診療のTMS治療は、「既存の薬物療法で効果がない中等度以上のうつ病」に対象が限定されています。
また、回数についても規定があります。保険適用されるのは「治療開始から6週間以内に行った」ケースに限られ、さらに「1回40分の治療を5回ペースで受けること」が前提となります。そのため、保険適用でTMS治療を受けることになると、入院を選択せざるを得ないのです。また、TMS治療を受けられる医療機関が限られている点もネックになっています。
TMS治療(磁気刺激治療)
の対象となる方
当院では自由診療の強みを活かすことで、保険診療の条件に当てはまらない方にもTMS治療を提供しています。治療回数や通院頻度も患者様と相談した上で柔軟に設定できるため、より自由度の高い治療を提案可能です。以下のような方は、ぜひTMS治療をご検討ください。
- 薬物治療で改善がみられない方
- 短期間の集中治療を望まれる方
- 薬物治療による副作用がつらい方
- 薬を減らしたい方や薬を断ちたい方
- 薬による性機能障害を懸念されている男性
- 妊娠を考えている、あるいは妊娠中の女性
- 授乳中の女性
- 受験生や勉強中の方
- 脳を使う仕事
- 高齢の方で生活の質を上げたい方
TMS治療(磁気刺激治療)の原理とメカニズム
うつ病を発症すると、脳の前頭前野の脳機能低下を中心に、以下のような機能異常が発生していることが分かっています。
- 複数の脳部位の萎縮・過活動
- 神経ネットワークの異常
TMS治療では、上記のような不具合にアプローチするため、「ファラデーの電磁誘導の法則」の基本原則に則りながら、磁気刺激を脳に与えます。具体的なステップは以下の通りです。
図1 8の字コイルの交点で最大の渦電流(うずでんりゅう)が生じる一方で、交点から離れると渦電流が小さくなるため、治療部位をピンポイントで刺激できます。
- コイルへ瞬間的な通電を行う。
- コイルに対し垂直に磁場が発生。磁気は頭蓋骨を貫通して脳に届き、脳内に渦電流(うずでんりゅう)を生じさせる。
- コイルの交点で最大の渦電流が生じる。その一方で、交点から離れると渦電流は小さくなる。これにより、治療部位をピンポイントで刺激できる。
このとき発生した渦電流が、脳の神経組織(ニューロン)を刺激することで、機能低下した部位を活性化、あるいは過活動を抑制し、神経ネットワークの正常化を促していると考えられています。また、脳を修復する物質を増やし、委縮した脳神経を修復しているという説もあります。
TMS治療(磁気刺激治療)のメリットとデメリット
薬物療法や精神療法、TMS治療など、うつ病治療には数多くの選択肢があります。同時に、それぞれの治療にはメリット・デメリットが存在します。治療効果は患者様の状況によって異なるため、最適な治療法を見つけるにはそれぞれのメリット・デメリットを把握し、医師と相談しながら進める必要があるでしょう。
メリット
メリット1.副作用がほとんどない
TMS治療は刺激部位の痛み、不快感などの副作用はありえますが、治療部位(脳の特定箇所)に直接作用するため、全身性の副作用はほとんどありません。そのため、治療後も普段と変わらない生活を送れます。
一方、抗うつ薬などの薬物は、脳だけではなく全身に薬が作用するため、眠気・だるさ・ふるえ・吐き気といった副作用を起こします。そのため、車の運転など危険を伴う行為については禁止、もしくは十分な注意が必要とされています。
メリット2.治療期間が短い
TMS治療は数週間~半年程度かけて行います。効果には個人差があり、治療回数も患者様によって異なるので一概には言い切れませんが、当院で30回の施術を行う場合は、最短1ヶ月半~3ヶ月程度で治療を終了します。
薬物療法の場合は、最初に処方された抗うつ薬がしっかり効いた場合でも、減薬期間を含めて通常1~2年は服用し続ける必要があります。最初の処方で良くならない場合は他の抗うつ薬への切り替えや追加などが必要になり、治療がさらに長期化するケースも少なくありません。
メリット3.再発性が低い
通常、最初のうつ病から回復しても6割が再発するといわれています。さらに、再発者の7割が3回目を再発し、3回の発症者の9割が4回目を再発するとされています。このように、発症を繰り返すたびに悪化するケースも少なくありません。
しかし、TMS治療の再発率は低く、平成29年度の日本精神神経学会において「rTMS 療法が有効であった患者さんの6~12ヶ月における再発率は1~3割と推定」と報告されています。通常の治療フローに比べると、TMS治療の再発率は低いと考えられるでしょう。
デメリット
デメリット1.治療機会が限られる
TMS治療は抗うつ薬よりも普及が遅く、日本国内で臨床研究が進められたのは2000年代前半とされています。2019年6月から保険適用が始まりましたが適用条件は厳しく、治療施設自体も限定的。そのため、治療機会が非常に限られているのが現状です。
こうした中、当院は2014年の開院からTMS治療を実施し、国内屈指の治療実績を培ってきました。臨床経験から得た豊富な知見と、国内外でアップデートされるさまざまなエビデンスに基づき、より良い医療を患者様に提供しています。
デメリット2.短期的な治療費が高い
うつ病へのTMS治療(保険適用)の条件はかなり厳しく、入院が前提になっているケースがほとんどです。そのため、国内での通院によるTMS治療は、当院も含め自由診療が主流となっています。自由診療は健康保険による給付がなく全額患者様負担になるため、1回あたりの治療費用は高額になりがちです。ただし、TMS治療には「治療期間が短い」というメリットがあります。長い目でみれば、治療費の節約も期待できるでしょう。
TMS治療(磁気刺激治療)の副作用
TMS治療は治療部位に直接的に作用するため、薬物治療にみられる眠気や不眠、だるさ、下痢・便秘など、といった副作用がほとんどありません。
刺激部位の痛み・不快感などの副作用はありますが、治療を続けているうちに大半の人が慣れていきます。最も重い副作用としては治療中のけいれん発作がありますが、2021年の調査結果では「0.0031%(10万回に3回)」と報告されています(※1)。
【出典】
※1.Joseph J. Taylor, et al.(2021)”Seizure risk with repetitive TMS: Survey results from over a half-million treatment sessions”, Brain Stimulation, 14 (4), p.965(参照:2023/1/16)
TMS治療(磁気刺激治療)の流れ
TMS治療は、まずは刺激部位・強度を決定し、その後磁気刺激を行う流れで進みます。以下では、詳しい流れを紹介します。
Step.1 刺激部位(ターゲット)の特定
専用器具で頭のサイズを計測。次に、専用の解析ソフトでターゲットを特定します。ターゲットの精密さは治療効果に大きく影響します。
Step.2 刺激強度の決定
脳の特定箇所(指の筋肉を司る領域)に磁気刺激を与えると指先がピクピクと反応します。この反応を測定することで刺激強度を決定します。治療効果を高めるには、適正な刺激強度が求められます。そのため当院では、「筋電計」を併用して測定精度を高めています。
Step.3 磁気刺激
Step.1で特定したターゲットに磁気刺激を行います。コツコツと突かれるような痛みを感じるかもしれませんが、通常は治療回数を重ねることで慣れていきます。痛みが強い場合は、刺激の調整も可能なのでご安心ください。当院では、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療を、最適な時間で実施します。
Step.4 終了
Step.1~3で磁気刺激は終了です。お疲れ様でした。治療担当スタッフからお声がけしますので、不明な点などがありましたらお気軽にご質問ください。
当院の治療実績
当院のTMS治療では約8割の方が軽症化し、約6割の方が寛解(症状がほぼなくなること)しています。これは、治療30回時点でHAM-Dの点数が13点以下の方を「良くなった(軽症)」、7点以下の方を「治った(寛解)」としたときの割合となります。なお、対象となったのは、2013年6月~2022年6月現在までに旧クリニック全体で治療を受けた3,194人です。
当院のTMS治療(磁気刺激治療)の費用
1回 | 単価 21,800円(税込) |
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まとめて10回 |
単価 19,800円(税込) 総額 198,000円(税込) |
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初診限定 お試しセット19,800円(税込)
※事前予約のみ
セット内容
- 光トポグラフィー検査
【うつ状態を数値化】 - ストレス測定【自律神経の状態を可視化】
- TMS治療1回【脳を活性化させうつ症状を改善】
- 医師の診察
治療は医師の診断によりますのでご了承ください。
こちらのセットは予約時でのお申込みとなります。来院後に検査や治療が追加になった場合は適用されません。
当院の治療について
当院は、他の精神科や心療内科のクリニックでは難しい治療「TMS治療(磁気刺激治療)」をご提案しております。ここでは従来の薬治療とTMS治療の違いや特徴、メリットなどについて紹介します。
TMS治療(磁気刺激治療)と薬治療の違い
当院では、「身体に優しい治療法」をご提案しています。当院がおすすめするTMS治療には、「薬の治療にみられるような副作用がない」「治療期間が短い」「高い治療効果を見込める」など、さまざまなメリットがあります。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
回数 | TMS治療 | 薬物治療 |
---|---|---|
副作用 | ほとんどなし | 薬による副作用あり |
効果 | 約8割が改善 | 約5割が改善(1剤目・2剤目服用) |
治療期間 | 1ヶ月半~3ヶ月 | およそ数年 |
仕事への影響 | 仕事に支障なく通院可能 | 副作用が出ると仕事に支障あり |
未成年への治療適応 | 中学生以上から治療可能 | 中学生や高校生に処方できる薬は限定される |
TMS治療(磁気刺激治療)のよくあるご質問
- Q.1
-
健康保険は使えますか?
当院のTMS治療は自由診療です。健康保険は使えませんが、健康保険では対応できない先進的な医療の治療を選択できるというメリットがあります。
- Q.2
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現在抗うつ薬を服用中ですが、TMS治療(磁気刺激治療)を受けられますか?
通常は服用を続けながらTMS治療を進めます。 抗うつ薬を服用していることを理由に、TMS治療が受けられないということはありません。
- Q.3
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受験を控えた子供がうつ病のようですが、TMS治療(磁気刺激治療)を受けても大丈夫ですか?
TMS治療は副作用がほとんどなく、受験勉強への悪影響が少ないことから問い合わせが増えています。受験生のTMS治療は、検査・診察の上で医師にご相談ください。
- Q.4
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うつ病の場合、治療期間や治療回数の目安は?
個人差はありますが、うつ病の場合は1ヶ月でまず10回を行ってください。3ヶ月くらいの間に30回程度TMS治療を実施するのが目安となっています。当院では、基本的には短期間の集中的な治療をおすすめしています。具体的な治療期間・治療回数は医師と相談しながら決めることになるので、不明点はご相談ください。