身体症状症

身体症状症とは

身体症状症(Somatic Symptom Disorder)とは、医学的な検査では異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な身体症状や痛みを感じ、それに強い不安やストレスを伴う疾患です。
この症状は、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼします。
かつて「身体化障害」とも呼ばれていたこの病気は、心理的なストレスや不安が身体症状として現れることが特徴です。

1. 身体症状症の種類

身体症状症イラスト

身体症状症には、いくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。主な種類を紹介します。

  • 身体症状症

    痛みや疲労などの原因不明の症状が長期間続き、強い不安や苦痛を伴い、日常生活に影響を与える。

  • 病気不安症(心気症)

    実際には病気でないのに、重い病気にかかっていると信じる。医師の診断を受けても不安が消えず、受診を繰り返すことも。

  • 変換症(転換性障害)

    ストレスが原因で麻痺や視力障害などの神経症状が出る。検査では異常が見つからず、無意識に発症する。

  • 心因性疼痛障害

    ストレスやトラウマが原因で慢性的な痛みを感じる。腰痛や頭痛など、はっきりした原因がないのに続く。

  • 身体表現性自律神経機能不全

    動悸、めまい、息苦しさなどの自律神経症状が続く。ストレスや不安によって悪化しやすい。

2. 身体症状症の原因

身体症状症の発症には、心理的要因、生物学的要因、環境的要因が関与すると考えられています。

               

    心理的要因


    過去のトラウマやストレスが、身体症状として現れる。
    うつ病や不安症との関連が深い。


    生物学的要因


    ストレスホルモン(コルチゾール)の異常分泌や神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)のバランス異常。


    環境的要因


    家庭や職場のストレス。幼少期の経験(過保護、厳しい養育環境など)。




    3. 身体症状症の症状

    身体症状症の主な症状は、明確な医学的原因がないにもかかわらず、持続的な身体の不調を訴えることです。以下のような症状が見られます。

    • 【 身体的な症状 】

      • ・頭痛、腹痛、関節痛、筋肉痛などの慢性的な痛み
      • ・胃腸の不調(吐き気、下痢、便秘など)
      • ・動悸や息苦しさ
      • ・めまいやしびれ

    • 【 精神的な症状 】

      • ・症状に対する強い不安や恐怖
      • ・「この症状は重篤な病気ではないか」という過度な思い込み
      • ・医師の説明を信じられず、何度も受診を繰り返す

    • 【 行動面の症状 】

      • ・痛みや不調のために仕事や学校を休みがちになる
      • ・医療機関を頻繁に受診し、過剰な検査を求める
      • ・痛みや不調が生活の中心となり、日常の活動が制限される

                     



    4. 身体症状症の診断

    身体症状症の診断は、他の病気の可能性を除外した上で、心理的要因を考慮しながら行われます。

    問診・カウンセリング


    症状の経過、生活環境、ストレスの有無を確認します。

    DSM-5の診断基準


    アメリカ精神医学会の診断基準に基づき評価します。

    身体検査


    血液検査、MRI、CTスキャンなどで身体疾患を除外します。

    心理検査


    不安やストレスの程度を測定します。

                

    ストレス測定


    自律神経バランスを測る機器を使用して、現在のストレス状態を調べます。

    光トポグラフィー検査

    ストレス測定

    光トポグラフィー検査


    脳の血流量を測り、血流量の変化パターンからうつ病かどうかを可視化する検査を行います。

        

    光トポグラフィー検査

    5. 身体症状症の治療法

    身体症状症は、心理療法や薬物療法、生活習慣の改善によって症状の軽減が期待できます。

                   

      ① 認知行動療法(CBT)


    • ・身体の不調に対する不安な考え方を見直し、ポジティブな思考を育てる
    • ・ストレス管理スキルを習得する


    •                 

      ② 薬物療法(必要に応じて)


    • ・抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬を用いることがある
    • ・痛みに対しては鎮痛剤が処方されることもあるが、依存には注意が必要


    • ③ 生活習慣の改善


    • ・規則正しい睡眠と食生活を心がける
    • ・適度な運動を取り入れ、ストレスを発散する
    • ・リラクゼーション(ヨガ、瞑想など)を活用する。


    • ④ TMS治療(経頭蓋磁気刺激法)


      脳に磁気刺激を与え、ストレスやうつ症状を改善する治療法です。ストレスやうつ症状が改善することで、身体症状症の症状が軽減することが期待できます。




    TMS治療




    6. 身体症状症の予防と再発防止

    身体症状症を予防し、再発を防ぐためには、ストレスマネジメントと健康的な生活習慣が重要です。無理をせず、自分のペースで回復を目指しましょう。

                   

      ✔️ ストレス管理と自身のコントロール


    • ・ストレスを適切に発散する(趣味や運動を取り入れる)
    • ・不安を感じたときの対処法を身につける(深呼吸、マインドフルネスなど)


    •                  

      ✔️ 生活習慣を整える


    • ・睡眠をしっかりとる
    • ・規則正しい食生活を心がける


    • ✔️ 早めに専門医に相談する


    • ・心理的な負担を軽減するため、カウンセリングを活用する
    • ・症状が再発しそうなときは、早めに専門医に相談する



    • 初診の方はこちらから初診のご予約はこちらから

      web初診予約

      ※再診の方はお電話でご予約ください

      0120-809-270(電話受付時間 10:00~19:00)

      7. まとめ

      身体症状症は、医学的に説明がつかない身体の不調が続き、それに対して強い不安を感じる病気です。適切な治療とサポートによって改善が可能です。

      • ストレスを管理することが重要
      • 健康的な生活習慣を整える
      • 専門医のサポートが大切

      身体症状症は、決して「気のせい」ではありません。適切な治療とケアを受けることで、健康な生活を取り戻すことができます。


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