コラム

予約したのに、行くのが不安になったあなたへ

予約後に不安が強くなるのはよくあること

クリニックやカウンセリングの予約をしたあと、「本当に行けるかな」「何を話すんだろう」「今の自分を否定されたらどうしよう」と不安になるのは、ごく自然なことです。初めての場所や初めての人に会うとき、誰でも緊張や抵抗感を感じます。これはあなたが「心が弱い」からでも、「決断力がない」からでもありません。
人間の脳はもともと新しいことや未知な状況に対して過敏に反応し、不安や警戒心を高める特徴があります。心理学でも、変化や新しい経験の前に不安が強まることは普通の反応として理解されています。
これまでの人生を思い返してみても、新しいことに不安を感じていたのではないでしょうか。たとえば、新しい職場に初出勤する日や、慣れない場所へ旅行に行く前の日など、多くの人が不安や緊張を感じるはずです。それは「失敗したくない」「うまくいきたい」という気持ちの裏返しでもあります。心の中では「どうなるだろう?」という疑問が次々と浮かび、不安のループにはまってしまうことがありますが、それ自体は決して異常なことではありません。
ですので不安になった自分を責める必要はありません。むしろ、不安があるということは、あなたがその経験を大切に思っている証拠でもあります。「不安になって当たり前なんだ」と自分に言い聞かせるだけで、その気持ちはずいぶん楽になりますよ。

初診で“されないこと・決められないこと”

では、実際の診察やカウンセリングではどんなことが起きるのでしょうか。
精神科や心療内科の初診では、あなたの話をじっくり聴くことが中心になります。医師や心理師があなたに話しかけるのは、あなたの状態を理解するための質問です。決して「間違っている」「おかしい」と評価するためのものではありません。ですので、思っていること、感じていることをそのまま話してください。
また、初回の段階で「診断名を決められてしまうのではないか」「治療方針を即決されるのではないか」という不安があるという声をよく耳にします。しかし多くの場合はそうしたことはありません。初診では、まずあなたの話や悩みの背景を丁寧に聞くことが最優先事項であるとされています。診断や治療計画の提案は、じっくり話を聞いたうえで患者さんの希望やペースを考慮しながら進められます。
繰り返しになりますが、医療機関であなたの人格を否定したり、これまでの生活を非難されたりするといったことはありませんので、不安になる気持ちはよくわかりますが、安心して受診してください。

診察当日の流れ

当日の流れが見えない、つまり「見通しがつかない」ことも、不安を大きくする要因になりますので、この部分についても触れていきますね。
一般的な初診では、まず受付を済ませ、簡単な問診票を記入します。そこには現在困っていることや体調、生活状況などを記載しますが、すべてを詳しく書けなくても問題ありません。書ける範囲で大丈夫です。
その後、待合室で順番を待ち、名前が呼ばれると個室に案内されます。最初は担当者から自己紹介があり、緊張を和らげるようなやり取りから始まることがほとんどです.いきなり深刻な話題に入ることは少なく、あなたの様子を見ながら少しずつ話が進んでいきます。時間はおおむね30分から1時間程度で、途中で休憩を挟むことも可能です。
話す内容に正解はありません。「何がつらいのかよくわからない」「うまく言葉にできない」と正直に伝えても構いません。その状態を理解することも、専門家の大切な仕事です。最後には、その日の内容を簡単に振り返り、今後どうするかを相談しますが、無理に次回の予約を決める必要もありません。

「迷っている状態」で来ていい理由

骨が折れていたり、体のどこかが痛かったりすると「病院へ行こう」と思えますが、心の不調の場合には「このくらいで病院へ行ったら笑われるかもしれない」「注意されたり怒られたりするかもしれない」と感じ、病院へ行くかどうか迷ってしまいますよね。
しかし迷っている方こそ、来院してよい状態だといえます。実際、心や体の不調が医学的・心理学的にどの程度のものなのかを見極めるのは、専門的な知識がなければ非常に難しいものです。別の病気が背景に隠れている可能性があるかどうかも、自己判断では限界があります。
医療や心理の専門家は、症状の経過や生活状況、身体面・精神面の両方を踏まえて総合的に判断します。「ちょっと心配」「念のため」という段階で相談することは、決して大げさではありません。むしろ、早い段階で専門家の視点を入れることで、安心できたり、必要以上に不安を膨らませずに済んだりすることも多いのです。
迷っている状態で来院する方は非常に多く、「こんなことで相談していいのかわからなくて」と切り出される方も珍しくありません。その迷い自体が相談内容の一部です。はっきりした理由がなくても、「最近なんとなくつらい」という感覚を是非私たちに聞かせてください。

それでも不安なときの考え方・来院の判断基準

それでもなお不安が拭えないときは、「とりあえず話を聞いてもらおう」「何でもなかったら、それはそれでよしとしよう」と考えてみてください。最初から「必ず治さなければ」「完璧に解決しなければ」と志を高く持ちすぎる必要はありません。受診の目的は、まず現状を知ること、そして安心材料を得ることだけでも十分なのです。
心理学では、「相談しよう」「病院に行こう」と考え、実際に行動に移せたこと自体が、状況を好転させる重要な一歩だと捉えられています。行動することで、無力感や孤立感が和らぎ、自分を大切に扱えているという感覚が生まれやすくなるからです。そのため「最近落ち込んでいる」「心がモヤモヤして疲れる」といった自分の中では小さな不調であったとしても来院してみてください。
最後になりますが、誰かに相談することや医療機関を受診することに不安を感じることは恥ずかしいことではありません。気負わず、期待しすぎず、「今日は話をして帰るだけでもいい」と自分自身に聞かせてあげてください。そうして医師や心理師に自分のことを思いのまま伝えてみてください。こうした勇気ある一歩が、あなたのこれからの生活をかえる大きなきっかけとなっていくのです。


参考文献



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記事監修

①予約後に不安が強くなるのはよくあること

梅田メンタルクリニック
院長 初村 英逸

2009年大分大学医学部卒業。現在、梅田メンタルクリニック院長。精神保健指定医。
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